イラク特措法の延長について

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 今国会に政府から提出を予定している、いわゆるイラク人道復興支援特措法の一部を改正する法律案についてです。

 この法律案は、今年の7月31日で期限を迎えます。そこで、政府・与党はイラク人道復興支援特措法の期限(4年間)を2年間延長するというものです。

 イラク人道復興支援特措法は、国連安保理決議第千四百八十三号を踏まえ、イラク国民による国家再建に向けた自主的な努力を支援する国際社会の取組に関し、日本が主体的かつ積極的に寄与するため、人道復興支援活動等を行うこととしています。
 そうすることで、日本を含む国際社会の平和及び安全の確保にも資することを目的としています。
 現在、同法に基づき、イラクにおいて、日本の航空自衛隊部隊が、国連及び多国籍軍に対する空輸支援を実施しています。

 イラク政府は、テロの頻発や宗派間対立の激化等、現在も厳しい国内情勢が続いていることに対し、事態の改善に向けて努力を傾注しており、今後数年が、情勢の打開と復興に向けて鍵を握る重要な時期であると考えられます。 国際社会においては、まず国連は、国連イラク支援ミッションの活動を今後少なくとも数年間は継続したいとの意向です。一方、多国籍軍は、イラクの国家再建と復興支援の実施上の基礎となる治安確保のため任務を継続しております。

 今後、イラク政府が治安権限を引き継いでいく場合にも、イラク治安部隊の訓練等の各種支援を行うと想定されています。
 また、復興支援活動も継続実施しており、多国籍軍の撤収が早期に実現する可能性は低いと言えます。
 このような中、航空自衛隊は、輸送活動を着実に実施し、国連及びイラク政府等から高く評価されております。
 国連は、潘基文(パンキムン)事務総長から安倍総理大臣宛に、また、カジ事務総長特別代表から在イラク足木(あしき)臨時代理大使宛てに書簡を発出し、空輸支援の継続的な提供に対する謝意表明とともに、この支援の継続を希望する旨、述べています。
  イラク政府は、マーリキー首相の安倍総理大臣宛て書簡にて、国連と多国籍軍のための空輸支援の継続の検討を要請しております。先週訪日したハーシミー副大統領からも、安倍総理を始め同様の要請がなされています。

 イラク情勢の現状から、冒頭に述べた本特措法の目的は未達成です。イラクの安定と復興は、国際社会共通の重要課題であると同時に、石油資源の九割近くを中東地域に依存する日本自身の国益にも直結する課題であり、日本は、引き続き国際社会と協力して主体的かつ積極的に寄与していく必要があります。
  航空自衛隊の空輸支援についても、復興支援に引き続き腰を据えて取り組む姿勢を示し、また、これを安定的・継続的に実施するためにもある程度まとまった期間が必要です。
  なお、部隊の要員の安全確保に引き続き万全を期すべきことは当然であります。


(参 考)

1 イラク特措法の目的と意義

(1)イラク特措法の目的は、イラクの国家再建へのイラク国民による自主的な努力を促進・支援しようとする国際社会の取組に対して、日本として協力しようというものです。

(2)これは、日本が国連安保理決議1483を踏まえ主体的かつ積極的に寄与するために、人道復興支援活動及び安全確保支援活動を行うことで、イラクの国家の再建を通じて我が国を含む国際社会の平和及び安全に貢献するものです。

(3)同法の期限は、本年7月31日です。
 陸上自衛隊がムサンナー県で人道復興支援活動等を実施し、所期の目的を達成したため昨年7月下旬までにサマーワでの活動を終了しました。しかし、航空自衛隊は輸送活動を継続しています。

(4)イラクの安定と復興は、中東地域全体の平和と安全に関わる国際社会共通の重要課題であり、安保理決議1483及び累次の安保理決議は、国連加盟国がイラクの再建のために貢献することを求めています。
 同時に、石油資源の9割近くを同地域に依存する我が国自身の国益にも直結します。

 以上を踏まえ、我が国はイラク人自身による国造りの努力を主体的に支援していく必要があります。

2 現在の国際社会の取組

(1)国連イラク支援ミッション(UNAMI)はイラク国内で種々の人道復興支援を実施していますが、バグダッドの本部と重要な活動拠点たるエルビル事務所との間の関係者の移動は、治安等の理由から大きく制約されている状況です。
 航空自衛隊は、週1回、国連のためにクウェートを起点にバグダッドとエルビルの間を運航することで、国連要員の貴重な移動手段を提供しています。
 国連は、潘基文事務総長を始め、我が国に対する書簡において、活動を続ける上での航空自衛隊の継続的かつ安全な輸送支援の必要性を強調しています。

(2)多国籍軍は、イラクの国家再建及びこれに対する国際社会の復興支援の円滑な実施にとり必要不可欠の基礎をなすイラク国内の治安の回復と確保のための各種任務を継続すると同時に、人道復興支援も実施しています。

3 今後の国際社会の取組の見通し

(1)現在、イラクは、テロの頻発や宗派間対立の激化等、厳しい情勢が継続しています。イラク政府は事態の改善に向け努力を傾注しており、今後数年が国造りへの鍵を握る重要な時期となっております。

(2)国連イラク支援ミッションの活動は、安保理決議によるマンデートが前提ではありますが、国連関係者は今後少なくとも数年間は活動を継続したいとの意向です。
 来年後半には、活動の基盤強化を予定しています。

(3)多国籍軍が早期に撤収する可能性は低く、今後の治安権限移譲後もイラク治安部隊に対する各種支援(訓練等)、復興支援の活動を継続していく見込みです。

4 イラク特措法の期限延長の必要性及び期間

(1)イラクの安定化・復興の本格化には相当程度の時間が必要と見込まれます。
 航空空自衛隊の活動が「主要かつ死活的役割を果たしている」とするマーリキー首相の書簡を始め、航空自衛隊の活動継続を求めるイラク政府の希望は強く、また、国連及び多国籍軍からの、日本の空輸支援継続への期待も高いものがあります。
 イラク国民による自主的な努力を支援するとの特措法の目的はまだ達成されておらず、航空自衛隊による輸送支援を安定的に続けることが必要です。
 イラクの現状を考えれば、引き続き復興支援に腰を据えて取り組む姿勢を示す必要があり、そのためには、ある程度の長期間枠を設定すべきです。

(2)以上を踏まえ、政府としては、2年間の期間を定めて効力を延長することとし、実際の活動は、延長後の同法の同期間内において、今後のイラクの治安・復興状況、国連や多国籍軍各国の動向等を見極めつつ、適切かつ柔軟に実施していく方針です。


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