新テロ法案 民主党の対応は理解し難い
 

 「新テロ法案 民主党の対応は理解し難い」とのタイトルで毎日新聞・社説(1月9日付)が以下のように論じていました。

 依然だったら、若い政党ゆえの試行錯誤で済んだかもしれない。しかし、今や民主党は参院を支配し、近い将来の政権獲得に現実味のある存在だ。その党の蛇行ぶりを大目に見ることはできない。
 大詰めを迎えた新テロ対策特別措置法案の扱いをめぐって、民主党は参院での採決を見送る方針だという。菅直人代表代行らは最近まで「参院の意思を示すべきだ」と、採決したうえでの否決を主張していたのに、方針を転換したようだ。
 法案が参院に送られた昨年11月13日から数えて、今月11日で60日がたつ。このため、民主党が参院採決を見送っても、憲法59条の規定によって否決したとみなされる。同時に与党は12日以降、3分の2の多数による再可決が可能になる。
 防衛省汚職の解明など、法案審議以外に必要な作業があったことは考慮しなければならない。ただ、60日かけても態度決定ができないとなると、参院不要論を誘発しかねない。だからこそ、 菅氏らは「最後は採決」と訴えていたのではないか。他の野党3党も、採決を求めている。
 採決の見送りに傾いた理由は、民主党が「切り札」と考える首相問責決議案の提出時期を3月末の予算攻防に合わせるためらしい。野党が有効な政府攻撃策を考えるのは当然としても、あまりに国会戦術に偏った思考と言わざるを得ない。
 私たちは、新テロ法案から抜け落ちている「国会承認」規定の復活を求めて、民主党が修正要求に乗り出すことを期待していたが、双方の歩み寄りは実現しなかった。もはや、採決を先送りする積極的な理由は見当たらないのが実情だ。
 インド洋での補給活動に代わる民主党の対案も、不可解な経過をたどった。同党は当初、「対案は臨時国会ではなく、通常国会に出す」と表明していた。ところが、審議時間が限られてきた昨年末になって対案提出にかじを切り、対案の審議が尽くされていないとも主張している。
 もし、民主党が臨時国会の早い時期に現実的な対案を出し、政府案との徹底比較に挑んでいれば、国会の論議はもっと深みのあるものになっただろう。それをせず、遅らせてきた民主党が今になって審議不足を言っても、どれほど説得力があるだろう。
 民主案は、人道復興支援のために自衛隊をアフガニスタン本土に派遣する内容だ。ただし、抗争停止の合意を派遣条件にしているため、党内からも「事実上、派遣不可能な案」との指摘が出ている。
 同党の前原誠司前代表が応じたインタビューによると、小沢一郎代表は「与党が到底、同意できないような法案を作れ」と指示したという(「中央公論 」1月号)。事実ならば、そもそも対案は「政局の具」でしかなかったことになる。