衆参議長斡旋
民主党は「年度内採決」を守れ
暫定税率延長 混乱回避にやむを得ない措置だ

 「読売新聞・社説の『衆参議長斡旋 民主党は「年度内採決」を守れ』(1月31日)
 『暫定税率延長 混乱回避にやむを得ない措置だ』(1月31日)が以下のように論じていました。

衆参議長斡旋 民主党は「年度内採決」を守れ(1月31日付・読売社説)
 与野党の全面対決による国会混乱という事態は、異例の衆参両院議長の斡旋によってぎりぎりの局面で回避された。
 日本経済の先行き不安などに直面し、政治の停滞が許されないことを考えると、当然である。
 速やかに2008年度予算と税制関連法案の審議に入り、年度内成立を図ることによって、経済や国民生活、地方財政の安定をはかる必要がある。
 それにしても、国民生活や経済の混乱回避を目的に、3月末で期限切れとなるガソリンなどの暫定税率を2ヶ月延長する与党提出の”つなぎ法案”に、民主党はなぜ、これほど反対したのか。
 民主党が描いてきた政局対応の基本戦略が狂うのを恐れたからではないか。
 民主党は、始めから「ガソリン値下げ」ありきの戦術をとり、税制関連法案の年度内成立阻止を掲げた。ガソリン価格の引き下げを実現したあと、与党が暫定税率を復活させれば、問責決議案などを提出し、福田内閣を揺さぶって衆院解散・総選挙に追い込もうというものだ。
 だが、徹底した対決路線に走れば、国会審議の全面拒否となる。これでは有権者の支持を得ることは困難だ。
 民主党の小沢代表が率いた旧新進党は1996年、住宅金融専門会社(住専)の負債処理をめぐる公的資金投入に反対、国会内で3週間にわたりピケをはった。だが、世論の批判を浴びて挫折し、この国会戦術の失敗が、新進党解党への端緒になった。
 民主党はかつての野党ではない。今や国政に大きな責任を負う参院第1党だ。住専国会の教訓もあり、戦略の見直しを迫られるにしても、ここは議長斡旋を受け入れて、いったん態勢の立て直しを図ろうとしたのだろう。
 議長斡旋の核心は、「公聴会や参考人質疑を含む徹底した審議を行ったうえで、年度内に一定の結論を得るものとする」という点にある。
 民主党の鳩山幹事長は、年度内の法案採決を「確約したものではない」と述べている。
 しかし、河野衆議院議長も、民主党出身の江田参院議長も、合同記者会見で、「議会である以上、賛否を決めることだ」と明言し、参院が年度内に議了・採決することを確認している。
 斡旋内容を確実に履行することは、各政党の”義務”となっている。
 議長斡旋では、税制関連法案で与野党の合意が得られたものは、修正することも盛り込まれた。道路特定財源のシステムをどう改革したらいいのかなど、論点は数多い。与野党は、真摯に論戦を展開していく必要がある。

暫定税率延長 混乱回避にやむを得ない措置だ(1月31日付・読売社説)

 国民生活や経済、財政などに生じる混乱を避けるために、やむを得ない措置である。
 自民、公明の両与党は、3月末で期限切れとなるガソリンなどの暫定税率を2ヶ月間延長する議員立法の”つなぎ法案”を国会に提出した。1月中の衆院通過を目指す。
 参院で過半数を占める野党が60日間採決に応じなければ、与党は、憲法59条の「みなし否決」の規定に従って、年度内に、衆院で3分の2以上の多数で再可決し、成立させる方針だ。
 こうした対応に”奇策”という声もある。だが、民主党の対応と、それによって生じると予測される事態を考えれば、”奇策”とは決めつけられまい。
 今国会を「ガソリン値下げ国会」と位置づける民主党は、暫定税率を維持する政府の税制関連法案に反対だ。法案の年度内成立を阻止し、ガソリンの暫定税率の期限切れを図ろうとしている。
 衆院解散・総選挙を視野に、福田政権を揺さぶるとともに、値下げで国民の歓心を買う狙いがあるのだろう。
 だが、実際に、暫定税率が期限切れで失効すれば、どんな事態となるか。
 ガソリンは元売り業者から出荷された段階で課税されるため、実際に小売価格が下がるまでには、時間がかかる。地域間での価格のばらつきや、買い控え、買いだめなどの混乱が予想される。
 暫定税率廃止となれば、国・地方合わせて2兆6000億円もの税収不足が生じ、財政に大きな穴が開く。
 海外の資金を邦銀が受け入れる際の利子非課税措置の期限切れとなれば、相当の資金が流出するだろう。国内の政治事情で、税制がくるくる変わるようでは、日本経済への信任が損なわれる。
 大きな混乱や国益上のマイナスが生じることが目に見えるというのに、何も手を打たないとしたら、それこそ政治の怠慢だ。つなぎ法案の提出は、こうした事態を避けるために、一国の政治指導者として、福田首相も最終的に、ぎりぎりの決断をしたということではないか。
 福田首相や与党には、こうした対応の理由を丁寧に説明し、国民の理解を得る努力をしてもらいたい。
 民主党をはじめ野党は、つなぎ法案に反発し、今後のすべての審議を拒否する姿勢だ。3月で任期が切れる日銀総裁の後任人事に影響するという見方もある。
 だが、国民の生活や経済の混乱回避には、民主党も大きな責任を負っている。むしろ、2008年度予算案や税制関連法案の審議を通じて、自らの主張を有権者に訴えるべきだ。政局優先だけでは、理解を得られまい。