国家の情報機能強化に関する提言


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 昨日、国家の情報機能強化に関する検討チーム・座長の町村信孝氏が「国家の情報機能強化に関する提言」を発表しました。
それが今朝(23日)の読売、産経新聞等に大きく掲載されていました。
 孫子は「戦わずして勝つ」をモットーに、諜報・情報(インテリジェンス)を最も重視していました。
専守防衛の日本にとっては、戦争を回避するために「情報」は極めて重要です。日本こそ、ウサギのような長い耳を持つ必要があるのです。

国家の情報機能強化に関する提言
平成18年6月22日
自由民主党 政務調査会
国家の情報機能強化に関する検討チーム
                               座長  町村 信孝

1、はじめに
わが党は、9.11テロ事件を契機に「米国同時多発テロ事件対策本部・情報収集等検討チーム」を設置し、わが国の情報組織の具体的な強化策等についての検討を行い、「わが国の情報能力等の強化に関する提言」を取りまとめた。
その後、イラクでの邦人人質事件や上海領事館員の自殺事件などに見られるように、わが国としての情報機能に関する体制は脆弱かつ不十分であり、わが国が国際社会において果たすべき役割からも、相応しいものとはなっていない。さらに国際テロや大量破壊兵器の拡散など、新たな脅威が増大しつつある現状を考慮すれば、国家の情報力の強さが問題の解決に決定的な意味合いをもち、そのための対外情報(インテリジェンス)機能の強化は一刻の猶予もならない。
そこで、昨年12月、「国家の情報機能強化に関する検討チーム」(町村信孝座長)を発足させ、喫緊の課題となっている国家の情報機能について検討を行い、この度、「国家の情報機能強化に関する提言」を取りまとめた。
内閣全体としては、本提言をもとに、わが国の情報機能強化策に取り組む必要がある。

2、内閣の情報集約・総合分析機能の強化
(1)情報要求を提示する機能の付加
  「どのような目的のために、どのような情報を必要とするか」という「情報要求」を適切に提示するための機関として、現在の安全保障会議と並ぶ閣僚級の「情報会議」(仮称)を設置する。
(2)内閣情報官の格上げ
  重要情報が政策判断によって影響されず、独立性の確保という観点から総理・官房長官に必ず伝わるようにする。
  このため、内閣情報官を官房副長官と同等クラスに格上げするとともに、総理・官房長官に対するインテリジェンスに係る報告については、できるだけ内閣情報官を関与させる。
(3)内閣情報官の分析スタッフの強化
  現在の内閣情報調査室は、これまでの経緯等もあるが、警察出身者が多すぎるとの批判がある。新設の内閣情報官の下に、外務省、防衛庁、警察庁、公安調査庁、経済産業省等や民間から出向の情報評価スタッフとして情報補佐官(仮称)を置き、情報の総合評価に当たらせる。
  情報補佐官にはこれら官庁のエース級の優秀な支援スタッフを充てる。その際、関係省庁は情報補佐官に全ての情報を提供するようにする。
  内閣情報調査室は、(4)で述べる新たな内閣情報委員会の事務局を担当する。
  この際、国内の治安維持・安全確保を目的とする「保安情報」と、国際社会の中で国益を実現することを目的とする「対外情報」とに取り扱い組織を二分する。
(4)内閣情報委員会の設置
  現在、内閣情報会議の下に置かれている合同情報会議に加えて内閣情報委員会を設置する。
  内閣情報委員会には、外務省(国際情報統括官)、防衛庁(防衛局・情報本部)、公安調査庁、警察庁、内閣衛星情報センター、で述べる新設の対外情報機関、海上保安庁、財務省、経済産業省、金融庁(必要に応じて厚生労働省、環境省等を加える)が情報コミュニティとしてメンバーとなる。
  委員会議長の内閣情報官から「わが国の情報評価」として、重要情報が総理等に迅速かつ正確に伝わるようにする。

3、内閣直轄の情報機関の設置による対外情報機能の強化
(1)対外情報収集のために、新設の内閣情報官の下(内閣情報調査室内)に、内閣衛星情報センター並びの実働部隊として対外情報業務に特化した情報機関を新設する。
  対外情報を収集並びに分析する要員については、外務省、内閣情報調査室、公安調査庁、警察庁、防衛庁などをはじめ、官民の組織にとらわれることなく、情報関係業務に従事している人間の中から、優秀な人材を集め、スタッフにプロとしての養成・訓練を施す。
(2)海外における情報収集にあたっては、要員の安全と情報の機密性を確保することを最優先の課題とする。
このため、情報収集と伝達方法は海外においては一元化する。要員が大使館に勤務する場合には、内閣官房と外務省の兼務として、要員はそれぞれの指揮命令に服することとするが、内閣官房と外務省は要員に対して発せられる命令が相矛盾することがないように緊密に連携する。内閣官房からの指示により収集された情報は、外務省の情報経路によって報告されるが、その内容については、特定の形式を設定することにより、外務省が修正せずに内閣官房に伝達されることを可能とする。
(3)対外情報業務に特化した情報機関は、各国の情報機関との間で情報交換を含む協力関係を構築する。
(4)各国における情報収集に必要な予算・定員などの措置については十分に手当てする。    

4、情報共有の促進・情報コミュニティの緊密化と秘密保持
(1)政府全体での情報共有の仕組みをつくり、情報共有促進のためにも各省共通の情報
保全基準(クリアランス)の制定、情報衛星等の技術的な情報活動の強化、音声・電磁
波の漏洩防止あるいはデータベースへの侵入防止対策等における最新ハイテク技術の活
用を図る。
(2)国家の秘密に接する全ての者に秘密保持を義務づける法体系(罰則規定を含む)の
新設・整備等を行う。
(3)情報分野におけるキャリアを確立するため、情報関連省庁の人事交流を積極的に推
進することが重要であり、適性と意欲のある人材が情報分野に特化しながら、キャリア・
アップしていけるよう、制度として他の情報組織への出向を昇進の条件とすることが必
要である。

5、国会への情報委員会の設置
(1)民主主義の観点からは、「情報」についても、国民を代表して政治が統制する必要がある。同時に、国会に提供された秘密が他国に明らかになるようなことがあれば、わが国の国益を守ることはできない。
(2)このため、新たに国会に情報委員会(仮称)を設け、この委員会のみにおいて秘密
を含む「情報」を審議し、その秘密を確実に保護するための法律等の所要の措置を講ず
る必要がある。

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